2010年9月11日土曜日

おいしいお酒

 
「珍しい酒が手に入りました」

その人は言う

「心のなかに白い壷があるでしょう
泣いたときは涙をそこにためるのです
少しずつ涙をためて いっぱいになったら
壷に栓をして 暗くて涼しいところに置いておきます

2年か3年経つとおいしいお酒ができあがります

誰にでもできることですが 飲むならやはり
美女の涙でつくったお酒がいちばんでしょう

それがこれです」

すすめられるままに飲んでみると
とろりとしておいしかった

「こころもち潮の味がするね」と言ったら

「ええ だから酒の肴はいらないんです」

その人はすました顔でそうこたえた
  


※暑さも和らいできた今日この頃、すこし元気になったので、笛のかわりの法螺を吹いてみました。

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