2010年9月28日火曜日

曼珠沙華と狐



 
狐の男の子がやってきてお母さん狐に言いました。 
 「うわぁ! かざぐるまがいっぱい!」 
お母さん狐が言います。 
 「坊や、それは曼珠沙華って言うお花よ」 
 「なーんだ、そうかぁ。だから吹いても回らないんだ~」   
さっきから花をフーフーと吹いていた坊やは、 
つまらなさそうです      

お母さん狐は「ちょっと待っていてね」と言うと呪文をとなえ、 
曼珠沙華をかざぐるまにかえました。

 
    
 「ありがとう! お母さん」 
子狐は曼珠沙華のかざぐるまを持って走り出しました。 
かざぐるまは気持ちよさそうに クルクル 回りはじめます。  
子狐が楽しくなって、よけいに早く坂道を走りまわると、 
かざぐるまもいっそう早く、クルクル クルクル 回りました。 
        
走りまわって男の子がそろそろくたびれそうになった頃、 
 「シィッ!!」 
お母さん狐が言いました。 
 「人の声がするわ。きっとお墓参りの人たちね。 
  さぁ、見つからないうちに帰りましょう」 
男の子は「は~い」というとかざぐるまを置いて 
お母さんについていきました。 
それからしばらくすると、今度は人間のお父さんお母さん 
そして男の子が山道を上ってきました。 
 
お花の入った桶を持っています。 
 「わぁ! かざぐるまだ!」 
ちょっとくたびれかけていた男の子は、 
とたんに元気になって言いました。 
 「誰のだろう?」 

不思議そうに男の子が拾うと、 
かざぐるま風もないのにクルクル クルクル  
歌うようにまわり始めました…… 


とさ。お話はこれでおしまい。ぼうや、おやすみ。
 
 

   
                                       

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